おわりに - なぜコンピュータを学ぶことが重要か
コンピュータは基本的に「あたりまえ」のこと、
つまり普通の常識で理解できることしかしない:
- なぜおかしな動作をするのか? → だれかが間違ったプログラムを書いたから。
- なぜ秘密が漏洩するのか? → だれかがネットワークに送っているから。
- なぜ不正な動作をするのか? → 不正な動作をするプログラムを実行したから。
ただし、コンピュータには常識の通用しない部分がある:
コンピュータの特徴:
大量の情報を、高速に、正確に、処理する。
- 大規模な自動化 → これまでにない規模の犯罪
- 大量の情報処理 → これまでにない規模の監視社会
- 複雑すぎるソフトウェア → これまでにない規模の単純ミス
今日、ますます多くものがソフトウェアで制御されるようにおり、
それは社会のあり方を規定するようになっている。
- 自動車
- 違法な排気ガス (VW)
- 不透明なブレーキ制御 (トヨタ)
- エアバッグ制御のタイミングなど
- エレベータ
- 航空機
- 通信機器
- 医療機器
“プログラムはまさに法律そのものだ。”
-- ローレンス・レッシグ
だが、これらの機器はブラックボックスであり
中に入っているソフトウェアがどう動いているかを一般人が知るすべはない。
大量の情報を処理するコンピュータには、必然的に大きな権力が集中する。
あるソフトウェアが、本当に
- 安全に配慮しており
- 法律に従った動作をしており
- 我々が望まないことはしていない
ことを、どうやったら確信できるのか?
“権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対に腐敗する。”
-- Lord Acton
こんにちでは、社会の参加者 (市民) が、技術を監視する義務がある。
そのためにはすべての人がコンピュータおよびソフトウェアに対して
基本的な知識をもつことが重要である。
Copyright (c) 2015 Yusuke Shinyama