第5回 - 学術情報へのアクセス、著作権について
2022年5月9日
- 前回までのあらすじ
- 「研究」って何?
- 情報を調べる (初級編)
- 情報を調べる (上級編)
- 著作権について
- 本日のまとめ
雑談
話題: 大学(院)生活の工夫
0. 前回までのあらすじ
- インターネットの基本的なしくみを学習した。
- 電子メールの原理を学習した。
- メールソフトを使えるように設定した。
- 図書館のシステムの使い方を学習した。
- インターネットの線が1本しかなくても通信できるのは
「○○○○交換方式」のためである。
- 電子メールの差出人は何のために必要?
- メールの差出人は信用できる?
- どうやったらメールの差出人を信用できる?
- “ベストエフォート方式” とは何か?
小課題2について
課題を提出する際の注意点
大学では、不正行為 (他人の答えを写す、試験中に別の答案を見る、etc.) は、
オリンピックのドーピングと同様に重大な罪とされています。
これに違反すると単位の剥奪、(最悪の場合) 停学などがありえます。
不正行為をした科目の点数は 0 点になります。
- 友達と相談するのはOK。
- 答えを直接教えたり、見たりするのはダメ。
- 見せたほうも同罪です。
したがって (身の安全のため) うっかり見せないよう注意。
- 「ただの脅し文句で、実際に罰されたりはしないだろう」と思ったら大間違い。
そういう学生にはきっちり対処します。
- 逆に、課題と直接関係ない部分はいくらでも質問してよいので、
むしろ PCの使い方とかは積極的に友達・先生の技を盗みましょう。
この問題は「説明力」を試すものである (採点はされないが)。
本来、鏡は左右逆には写らないので、「なぜ左右逆なのか」などという
質問をする人は何か勘違いしている可能性が高い。
そのような誤解を指摘し、質問者を納得させられるような回答をすることが
真の目的である。「いや、鏡は左右逆になっていないのだ」という回答は
事実としては正しいが、それだけでは勘違いしている人を説得することはできない。
このように、あたりまえだと思うことを文章で
きちんと説明・説得する技術は、今後の大学生活で
(就職してからも) きわめて重要なスキルである。
講評
- 句読点はちゃんとつけよう。さもないと、投げやりな印象を与えてしまう。
- 自分より説得力がある人の文章は参考にしよう。
- よくできた回答は「これは人間の思い込みにすぎない」点をきちんと指摘している。
- 「湖に映る富士山は上下が反転している」という回答は、
鏡が上下逆である(ように感じる)こともあることを示す、秀逸な例であると思った。
- 「人間の目が左右についているから」という回答は、
一見もっともらしい(?)が、片目でも同じように見えるので間違いであることがわかる。
いただいた回答 (提出順)
- 鏡に映る像については、上下反転しない理由に関しては、私たちが正立虚像を見ているから、で片づけられます。また、左右反転する、というのは正確ではなく、鏡に映る人間が左右反転して見える、というのが正しいと思われます。例えば、車のルームミラーに映る後続車が左右反転して映る、という話はそれほど多くは聞きません。この左右反転の有無には、人間の思い込みが関係していると思われます。例えば、鏡に映っている人間を見たとき、私たちは自分と対面している想定をします。その場合、鏡に映っている人間が右手を挙げた場合、自分から見て右側、つまり相手から見て左側の手が挙がっているので、左右反転しているように見えます。さて、余談ですが車のルームミラーに映る後続車が左右反転していないように見えるのは、それが「後続車である」という認識があるからと思われます。後続車が自分から見て左側にウィンカーを出しているわけですから、そのウィンカーは左折の合図である、という思考が働きます。同様に、人によっては鏡に映る人間も左右反転して見えない場合もあります。
- 鏡の中の世界と現実世界は必ず鏡を通して同一直線上に存在する。よって像が上下左右に写ることはない
- 鏡に映る自分の像が上下反対になると大変なことになる。また、鏡は平らだから焦点が存在せず上下が入れ替わることは無い。
- 鏡は上下は反転させず、左右は反転させるといった、うつっている物をそのままうつしだす物だから
- 鏡を見るとき、無意識に鏡に映った自分からの視点で左右を認識しているから。
- 写る像は虚像であるため正立だから。
- 鏡の本質は、左右を反転させるのではなく、前後軸を反転させることである。この場合、三次元空間を表現するための直行する三つの軸のうち、前後軸を除く左右、もしくは上下の軸のうち一方のみを共に反転したかのように認識することで整合性が取れる。人間の知覚する世界において左右の反転は何ら違和感を生じるものではないが、上下の反転となるとその限りでは無いので、脳は上下ではなく左右の反転したものとして鏡に映った像を認識する。
- 鏡の面が対称面となっているから。
- なぜ鏡は左右逆に写るのに上下逆ではないのか、自分なりに考えた回答。
- 鏡から見た自分がそのまま写っているのであって、それは上下逆ではないから。😂
- 上下という位置関係は絶対的なものだが、左右という位置関係は視点によって変わる相対的なものだから。
- 鏡が上下逆ではないのはメイクなど鏡を使う時に不便だからだと思っています。
- 鏡に自分の全身が映っているとする。自分の右手から発せられた光は、鏡で反射して目に届くが、この時光は直進する性質から、鏡を軸とした対象の位置から、光が届いていると錯覚するため、自分の右手が鏡の中では左手に見える、つまり左右が反転するように見えている。しかし、同様に対象の位置を考えると、左右が反転していると見えていようとも、頭の対象は頭で、足の対象は足でしかないため、上下が反転するように見えることはない。
- 鏡は前にある像をそのまま反射しているため、鏡の奥の像の視点になれば左右反転しているが、主観的に見れば鏡の前で自分から見て右側のものが動けば鏡像の右側のものが動くため、鏡を通して見ても物体の位置関係は変わっていないと言える。鏡像の視点になっても上下の位置関係は変わらないが左右は反転するため、我々には左右だけ反転しているように思えるのだ。
- 自分の左手は鏡の左側、右手は右側に対応して写るため、実際の自分とは左右逆になるが頭部は鏡の上側、脚部は下側に写り、上下は逆にならない。例えて言えば、自分の体ではんこをとるようなものであるからだと思う。
- 鏡に映ったものが左右逆になるのに上下ではそうならないのは、我々の左右に対するとらえ方が原因だと思う。鏡に映った自身の像に視点を合わせて考えることで、右手が左手に見えるのだと思う。右手にはめた腕時計を鏡の中の自分は左腕にはめている。これを考えると、実は左右に反転していないのかもしれないと思う。
- 鏡の前で右手を上げると、鏡に映る自分も右手を上げるので、そもそも鏡に写る自分は左右は反転していないと思います。
- 左右逆であれば他者から見えている光景がそのまま見られるので、脳が理解しやすいから。一方、上下逆にしてしまうと画像の変換をしなければならず、脳が混乱してしまうから。
- 鏡は投影図と同じで、横から見た時に、鏡に関して対象になるから。
- 自分から見た右は、相手から見た左であり、上下についてそのような認識の違いは生まれないため。
- 鏡が左右逆に映しているというのは視点の問題で、実際は左右逆にも映していないと思います。
- 鏡は人が実用性のため左右逆であって上下逆でないように作ったと思う。
- なぜ鏡は左右逆に写るのに上下逆ではないのか。私にはこの問が不思議でならない。なぜなら、私には鏡に写っている自分は上下逆に見えるからだ。私がこの話を友人に話すと、「正気か?」と言われてしまった。その友人には鏡に写る自分が左右逆に見えるらしい。彼には普段世界がどのように見えているのかとても興味をそそられる。もしかしたら、彼は異世界人なのかもしれない。私はそんなことを考えながら、なぜ鏡は上下逆に見えるのかという問いに自分では説明できないことに気づいた。これは大発見だ。
- なぜ鏡は左右逆に写るのに上下逆ではないのか 鏡は写ったものの手前と奥を逆転させるから 参照ページhttp://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/timeandspace2014/lec5.html
- 鏡は上下にも左右にも姿を反転させてはおらず、人が鏡に映った自分の姿を見て左右が反転していると思うのは、もともと人が左右対称に近い姿をしているがため、鏡の中の世界で半回転した自分とこちらの世界の自分を重ね合わせるイメージがしやすいからだと思う。半回転しているのだから当然左右は入れ替わるし、それが許されるのであれば人の中心を通る地面と水平な軸で人間を半回転させれば当然上下も入れ替えることができる。そもそも体の上下軸も左右軸も鏡に対しては平行なのだから、その中で特定の軸にだけ変化が生じるということはまず考えられないはず。
- 自分が思った鏡に左右逆に映るのに上下逆でないことの理由は、鏡に映っている像は物体に反射する光をそのまま垂直に映したものが、像側から見れば左右逆にはなっていないが、物体側から見れば左右の定義上逆ということができるから。
- 鏡を制作した人間が、上下反対に写る鏡は人間にとって見にくく不都合であったが、左右反対くらいなら妥協できたから。
- この質問を聞いたとき毎回思うのですが、鏡が左右逆に写るというのがいまいちよくわかりません。鏡はその前にあるものを面にそのまま投影しているだけなのでこのこと自体、何ら不思議なことではないと思います。
- 鏡が左右反転するのに、上下は反転しないという問いにたいしての自分の考えです。そもそも鏡に映った自分に対して、自分が鏡に回りこんで考えるため、左右反転していると考えられる。しかし視点を変えて、自分目線でみると、鏡はだだ反射しているため、そもそも反転していないと考えることもできると思いました。
- 普段鏡を見るとき、体が鏡と正対しているからであり、仮に鏡を床に置いてその上に立ち、鏡を覗き込んでみると上下逆に写るので、見方の違いだと思った。
- 鏡が左右に反転するのは鏡を地面に対して垂直に置くからで、地面に並行に置けば上下が反転する。
- 鏡は人間が自分の姿をよく見えるように作られたから
- 鏡の前にあるものが反射したものを見ているにすぎないから。
- 目が縦に2つではなく、横に2つ付いているという人間の構造が原因である。
- 鏡は位置関係をそのまま映すものであるので、鏡の前で右手を上げた場合正面から鏡を見ると右側の腕が上がっており、頭は上側にあるため鏡に鏡に映っている自分の頭も上側にある。反転の意味は「位置・方向・順序などが反対になること。また、反対にすること。」とあるが、上記のことから右のものは右、上のものは上と位置関係は変わっていないことから反転はしていないのではないかと思った。左右のみ反転していると考えてしまうのは自分が鏡の中の人間だったらと想像して上がっているのは右手か左手かと考えてしまうからであって、「反転」はしていないのではないかと思った。
- 反射の法則を守り反射しているから。私的には、そのままうつってるだけなので、不思議だとは思わない。
- 鏡の奥にできる虚像を目のレンズを通したときに左右のみ反転するから。
- 湖に映る富士山などは上下が反転しているので、左右が反転しているのではなく手前と奥が反転している。そのため、見方によって左右が反転したり上下が反転したりする。
- 鏡を見るには必ず鏡のほうを見なければいけないから,左右が反転してると思う。来た光をそのまま反射するが、見る人が鏡の反射面に向かって見てしまっている。もし鏡が反射面が向く方と同じほうを向けば左右は逆転しているようには見えないかも、そのようにして自分の姿を見るのは不可能
- 鏡に向かって自分が立ってるとすると、鏡は鏡の真正面にあるものを写すので、右手は自分から見て右に、左手は自分から見て左に、頭は上に、脚は下に写る。しかし、鏡の中の自分は本物の自分と対面する(反対を向いている)ように写るので、右手は左に、左手は右に、頭は上に、脚は下にあるように見える。よって、左右は反転するが上下は反転しない。
- 鏡は言わば自分が出した光を反射して、そのまま写し返すイメージ(昔理科の教科書に書いてありました)なので、左右は逆で上下は逆にならないんだと思いました。
- 鏡は左右逆であるが、それは像を紙にペタっとくっつけて印刷するようなものであり、上下反転する理由がないから。
- 鏡は正面にあるものを映しているだけで、左右が逆になっているわけではない。逆になっているように感じるだけだ。
- 鏡は左右逆に写っているように見えるが、私は上下逆になっているようにも、奥行きが逆になっているようにも見えると考える。その理由として、鏡を体と平行に置いた場合は鏡に映った体を左右反転させると、元の体に戻ると思われがちだが実際は左右を逆にした後にその体を自分の向いている方向と同じ方向を向かせてあげないといけない。しかし、この場合は手前に写っているものを奥に、奥に写っているものを手前にするという奥行きを逆にするという行為をすれば一発である。また、体の真上(真下)に鏡を置いた場合も同様に上下を逆にすれば一発である。左右を逆にするのが一発なのは体に垂直に鏡を置いた場合のみである。よって、我々は左右逆になっていると考えるのが楽だから、そう考えるのであって、実際は上下逆にも奥行きが逆にもなっているとも考えられると思う。
- 鏡の中から見ると、右手を動かすと鏡の中から見ると左手を動かしているから、確かに左右逆転しているとも言えるが、鏡の作用が屈折ではなく反射なら、左右逆転してるから上下逆転するのでは?という考えも浮かんで来ないだろう。鏡はただ反射してるだけである
- 鏡はあくまで手前と奥を反転させているだけだが、文字などを鏡に向けようとすると文字を左右に一回転させることになるため、結果的に左右のみ反転しているように見える。
- 実は反射された光は 上下も逆になっているのだが、人間の網膜のレンズで再び上下が反転されるので、上下が変わらないように、脳は認識する。
- まずは,何と何を比較して「逆転している」のかを明らかにする必要がある.そして,その何かは,「主体」が「客体」を見た像であるから,さらに「誰が」見ているのかを考える必要がある.また,鏡の置く向きも大切だろう.鏡に垂直な方向か,水平な方向かによって何が逆転するかは異なるからである.(人の方を回転させてもよい) 質問を見るに,ここでは「逆」を,鏡を地面と垂直に立てて自分が目の前に立ったときに「自分から見た自身のAの向き」と「鏡像から見た自身のAの向き」が平行で逆向きであることと定義すれば,題意が成り立つ.例えば,自分が右手を挙げれば鏡像は左手を挙げて逆転するが,自分の頭と足が逆転して見えることはない.しかしこれは認識の問題である.私たちは通常人は足で立つものと思いこんでいるし実際確実に正しい.ゆえにまず人は鏡像を認識する際無意識に自分と上下を合わせるので,自然と左右だけが逆になっているように見える.逆にいえば,自分と左右を合わせようとすれば上下が逆転する.(人だと物理的に動けないので,人ではない等方向な無機物であれば想像しやすい) そもそも,光の性質から,客観的な第三者から見れば,自分と鏡像自体で逆転しているのは左右でも上下でもなく前後でしかない.幾何的にもこれは鏡像すなわち線対称の定義そのものである.すなわち,どの3方向に対しても視点次第で逆転していると言える.
- 視覚情報は点ではなく面であるため、面対象のみ起こりえるから。
- 鏡は自分の像の光が対応して写っているだけで自分の像が上下反転して写っているわけではないから。
- 鏡はただ世界を鏡合わせに映し出してるので、右にあるものが右側に映し出され、左にあるものは左に映し出され、上にあるものは上に、下にあるものは下に映し出されるだけである。ただ、その工程を経ると、左右の定義的に左右が逆転してしまう
- 鏡に手を付けると実際の手と鏡に映った手がぴったり重なるように鏡は入り込んできた光をそのまま反射しているだけであり、そのため鏡が映したものは左右反転したように見えるが上下は変わらないのではないかと私は考えた。
- 鏡は版画みたいに像を映すから、像を正面から見た画像と像を映した鏡の画像は線対象になる。線対称なので鏡は左右逆に映り、上下逆に映らない。
- 上下方向は重力の働く方向として認識されているが、左右方向(地面に対して並行な面)は自分が動くことによって変化するから
- 人が物の左右を認識するのは、それの上下と前後を認識した後だから。前を顔が向いている方向、上を足から頭に向かう方向として初めて左右が決まる。
- 人間が左右対称だから
- 鏡が左右逆というよりは,鏡は正しい向きで現実の方が逆なのではないかと思う。なぜなら,現実で人と向き合うときは相手は自分に対して鉛直方向を軸として180度回転しているからである。このとき,水平な軸に対して回転することはないため,上下逆にはならない。
1. 「研究」って何?
よく、大学で「研究する」というが、
そもそも研究とは何だろうか。
1.1. 研究とは
- 問題をみつける。
- その問題について調べる。
- 得られた知識を書く (=論文)。
- つまり 研究 = 調査 である。
- 研究では 新しい知識 が得られなければならない。
- 研究の結果は、客観的 でなければならない。
大学の役割
- 大学の研究 = 調査して論文を書くこと。
- 大学の先生 = 研究をする人。
- 大学の役割 = 研究の方法を教える場所。
- 授業におけるレポート・実験 = ミニ研究。
次のものは研究か否か?
- 世界一面白いダジャレに関する研究。
- ドラえもんが住んでいた場所を景観から推測する手法。
- ニュートンの第二法則 F = ma が成り立つことの証拠。
1.2. 研究に必要なスキル
- 問題を思いつくスキル。 (これが実は一番大変)
- 調べるスキル。 (← 今日やる部分)
- 初級編: ネットで検索する。
- 上級編: 論文を読む。
- 書くスキル。
2. 情報を調べる (初級編)
2.1. 図書館を使った検索
(前回やったので省略)
2.2. 辞書を引く
- goo辞書 など。
- スマートフォンで「検索」すると、自動的に辞書が表示される場合もある。
2.3. ネットを使った検索
- 検索エンジン
- Wikipedia (東京工業大学)
問題点:
- 出典が明記されていない。
- 独自研究が書かれている。
(独自研究は載せない)
- 古い情報が更新されていない。
- 都合の悪い情報が消されている。
(過去の不正とか)
- 本当の一次情報は、TV・新聞・ネットではたどり着けない (ことが多い)。
TV・新聞・Wikipedia … まとめサイト
- 「英語は重要」…とよく言われる。
これを裏付けるひとつの方法として、
日本語と英語の話者人口および情報量の違いを調べよ。
- 「ワクチンは副作用が危険だからやらないほうが安全」という人々 (anti-vaxxer) がいる。
こうした人々を説得するために、年間のインフルエンザによる死者数、
およびインフルエンザワクチンで副作用が生じた人数を調べよ。
- ヒント:
英語における「anti-」の発音は「アンチ」ではなく「アンタイ」。
- 中国語で「手紙」と書くと、日本語の「手紙」とはまったく意味が異なる。
どのような意味になるか。
- (応用問題)
コロナウイルスの影響でトイレットペーパー不足が生じた国は、日本だけではない。
世界でどれくらいのトイレットペーパー不足が生じたか。
- ヒント:
「不足」 = shortage、
「国ごとの」 = by country
3. 情報を調べる (上級編)
なぜ統計資料・論文が重要?
- ネットはウソだらけ。マスコミは意見が入りすぎ。
- 本物の情報 (一次情報) = 資料または論文。
- 答えが曖昧・どっちかよくわからんときに、
はっきりした回答を得るのに使える。
- Wikipedia・新聞・TV を介さず、一次情報に直接アクセスすべし。
3.1. 統計資料を調べる
統計資料の検索にも検索エンジンを使うが、
「一次情報 (調査方法や図表の入ったもの)」を見つけるには
たとえば以下のサイトにある情報に絞りこむ:
- 日本の大学生は、平均してどれくらいの時間学習しているか?
元となる調査資料を検索せよ。
- 現在の大学生のバイトの時給は、平均してどれくらいか?
統計資料を見つけよ。
3.2. 論文を調べる
検索エンジンで論文も検索できることがあるが、
専用の「論文検索サイト」を使うとより細かい検索が可能。
(ただし、分野によって得意な検索サイトが違う。)
- 南極の氷が減っているという。しかしネットを検索すると「減っている」という記事と
「増えている」という記事の両方がある。どっちが本当なんだ? 白黒はっきりさせるために、
Google Scholar で該当論文を検索し、
「被引用数」が多い論文を見つけよ。
(被引用数… 他の論文に「出典」として使われた (引用された) 数。
研究者による「いいね!」みたいなもの)
- 明和7年 (1770年)、太陽活動による史上最大規模の
磁気嵐 (magnetic storm) が発生し、
日本では本州でも赤いオーロラが見えたという。
arXiv.org を検索し、
これについて記述した物理の論文を見つけよ。
また、磁気嵐は電子機器類を無力化するため、強力な磁気嵐が発生すると
文明が壊滅するのではないかと心配する人々がいる。
これに対する反論を見つけよ。
- 酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明 (朝日新聞、4月26日) という記事がある。
これは本当か? ここで言及されている Nature Communications の論文を発見せよ。
4. 著作権について
「著作権」というと、何やら怖い話のように思われることが多いが、
本当にそうなのか。
4.1. そもそも法律って何?
法律・規則 = 国・お役所が動くためのプログラム。
(e-Gov)
- 六法: 憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法および刑事訴訟法。
- 法律・規則は、知らなければ損をする。知っていればトクをする。
- 東工大も規則によって動いている。
- 日本国に「法律」はいくつぐらいあると思うか? (Zoomチャットで回答)
- なぜ「著作権」などというものが必要だと思うか?
4.2. よい社会とは何か?
- 以下のうち、どれが一番「楽しい社会」だと考えられるか? (Zoom投票で回答)
- 著作物 (小説、アニメ、音楽、ゲーム、教科書など) がまったくない社会。
- 著作物が5個だけ存在する社会。
- 著作物が500,000個存在する社会。
- 自分が一国の王様 (または大統領) だと仮定して、
世の中の著作物を増やすために、市民にどういう指令を出せばよいか?
著作物にまつわる難しさ
- 創作活動を強制することはできない。
- 自発的な創作活動をする人は全体の 1割程度
(1%の法則)。
- もしパクられたら?
- やる気なくす。
- 創作活動で生計をたてることはできない。
- → 社会から著作物が減ってしまう。
- しかし完全に「ゼロ」から作られた著作物もほぼ存在しない。
- 某アニメには元ネタとなった小説・童話が存在する。
- 昔の洋楽・民族音楽にインスピレーションを受けて作られたポップスは多い。
- どの程度「創造的」ならば独自の作品といえるのか、
客観的な基準があるわけではない。
4.3. 著作権の機能
- 日本では、すべての著作者に
著作物人格権が認められている。
→ パクられたときに「自分が作った」と主張できる。
→ 自発的に創作した人を保護する機能がある。
- 「独占的な権利」である。
→ 作者しか持てない。
- 複製 (コピー) や改変を制限できる。
→ 「コピーしちゃダメ」
→ 「作者の名前を書くこと」
- 複製に対して対価を要求できる。
→ 金もうけが可能。
- でも、カネがすべてとは限らない:
- 実は、わざと不完全にできている。
- 親告罪である。侵害された側が訴えないとダメ。
- 抽象的なアイデア (数学の公式など) はダメ。
- 「適当な対価」でないとダメ。
- 有効期限がある (日本では死後50年)。
- 日本の場合: 著作物の「引用」が可能
- 引用すべき明白な理由が必要。
- 引用できる部分はなるべく少なく。
- 引用元を明記する。
4.4. 世界各国の著作権
- ベルヌ条約 (Berne Convention): 著作権は (ほぼ) 世界共通で適用される。
- 米国: 著作権 = 純粋にお金の問題
Fair Use: 著作者に金銭的な損害を与えない利用
4.5. 著作権侵害はなぜ悪いのか
- 違法コピー・違法ダウンロード = 泥棒?
- 図書館で本を借りる = 泥棒?
- お金を払わなかったら作者は飢え死にするのか。
- 「ちょっとぐらいなら大丈夫」?
プールでおしっこするのに似ている。
- 著作権違反の本当の害: 著作物が減っていき、社会がつまらなくなる。
5. 本日のまとめ
- 研究とは、調べることである。
- 真実 = 資料・論文。
- Wikipedia は、疑ってかかるべし。
- じつは著作権は、世の中を楽しくするための権利だった。
- 自分が好きな (現実の事柄について記した) Wikipedia の記事をひとつ選べ。
- その中で「真偽がはっきりしない情報」「出典が明記されていない情報」を見つけよ。
- ネットを検索し、間違いと証明できる情報を見つけよ。
(あるいは、出典がないものに対しては出典を見つけよ。)
ここで調べた結果は、次回 (5月23日) のグループ討論で簡単に発表してもらう予定です。
来週の注意
来週の月曜日 (5月16日) は、東工大の宇宙では木曜日であり、
情報リテラシ (1a) の授業はありません。
Yusuke Shinyama